2026年7月24日からアメリカの関税制度が変更されました。
SNSでは
「eBay輸出はオワコン」
「日本の商品にも高い関税がかかる」
といった情報も見かけますが、実際には少し違います。
今回の制度変更は、すべての商品が一律に値上がりするわけではありません。
重要なのは、
- 7月24日以前と何が変わったのか
- 日本セラーにはどんな影響があるのか
- これから何をすればいいのか
を正しく理解することです。
この記事では、
- eBay新関税とは何か
- 日本セラーへの影響
- 今後やるべき対策
を初心者の方にもわかりやすく解説します。
なお、これからeBay輸出を始める方は、まず全体像を理解すると理解が深まります。

2026年7月24日以前と以後で何が変わった?
今回の変更は、「関税が始まった」のではなく、関税の仕組みが変わったことがポイントです。
まずは変更前と変更後を比較してみましょう。
| 項目 | 7月24日以前 | 7月24日以後 |
|---|---|---|
| 適用ルール | Section122 | Section301 |
| 追加関税 | 一律10% | 国・商品ごとに異なる |
| 日本の商品 | 基本関税+10% | 基本関税と合わせて原則12.5%となるよう調整 |
| 計算方法 | シンプル | 商品ごとに異なる |
| セラーへの影響 | 予測しやすい | 商品の確認が必要 |
一番大きな違いは、
「一律10%」から「商品ごとの税率」へ変わったことです。
7月24日以前はSection122による一律10%だった
2026年2月24日から7月24日までは、アメリカ通商法122条(Section122)に基づく追加関税が適用されていました。
難しい名前ですが、初心者の方は
「一時的な一律10%の追加関税」
という認識でOKです。
7月24日以後はSection301へ変更
7月24日からはSection122が終了し、
新たにSection301が適用されました。
ここから少し複雑になります。
Section301では、
商品カテゴリー
原産国
HSコード
などによって税率が異なります。
つまり、
以前のように
「全部10%」
ではなく、
商品ごとに税率が変わる仕組み
へ変更されました。
そのため、
同じ日本発送でも
ゲームソフトとカメラでは税率が違う場合があります。
Section122・Section301・MFNとは?
ここまで読むと、
「Section122って何?」
「Section301って何?」
と思われるかもしれません。
ここでは初心者向けに簡単に解説します。
Section122とは?
Section122とは、
アメリカが一定期間だけ適用した
一律10%の追加関税制度
です。
すべての商品を同じルールで扱うため、
税率が分かりやすい反面、
商品ごとの違いは考慮されませんでした。
今回、この制度は7月24日で終了しています。
Section301とは?
Section301とは、
国や商品によって税率を変える制度です。
例えば、
ある商品には追加関税がかかる一方、
別の商品では追加関税が少なかったり、対象外になったりする場合があります。
そのため、
以前よりも
商品の原産国やHSコードを確認することが重要
になりました。
MFN関税とは?
MFN関税(Most Favored Nation関税)とは、アメリカが普段から輸入品に対して設定している通常の関税です。
難しく聞こえますが、
「商品ごとに最初から決まっている基本の関税」
と考えれば大丈夫です。
例えば、
- カメラは○%
- フィギュアは○%
- 衣類は○%
というように、商品によって基本の関税率は異なります。
つまり、すべての商品が同じ税率ではありません。
今回の新関税で一番重要なポイント
ここが今回の制度変更で、多くの人が誤解しているポイントです。
2026年7月24日以降、日本から輸入される商品の関税は「一律12.5%」になったわけではありません。
実際には、
商品ごとのMFN関税を含めて、合計が原則12.5%になるよう調整されています。
言葉だけでは分かりにくいので、具体例を見てみましょう。
例① もともとのMFN関税が5%の商品
例えば、ある商品の通常関税(MFN)が5%だったとします。
7月24日以降は、
- MFN関税:5%
- 追加関税:7.5%
となり、
合計12.5%
になります。
つまり、足りない7.5%だけが追加されるイメージです。
もともとのMFN関税が10%の商品
今度は、通常関税が10%の商品です。
この場合は、
- MFN関税:10%
- 追加関税:2.5%
となり、
こちらも合計は12.5%になります。
もともとのMFN関税が15%の商品
では、最初から15%の関税が設定されている商品はどうでしょうか。
この場合は、
- MFN関税:15%
- 追加関税:0%
となります。
つまり、
すでに12.5%を超えている商品には、新たな追加関税はかかりません。
合計はそのまま15%です。
つまり覚えることは2つだけ
難しく感じるかもしれませんが、初心者の方は次の2つだけ覚えておけば十分です。
✅ もともとのMFN関税が12.5%より低い商品
→ 足りない分だけ追加され、合計が原則12.5%になります。
✅ もともとのMFN関税が12.5%以上ある商品
→ 新たな追加関税はかからず、そのままの税率です。
これが、今回のアメリカ新関税で最も重要なポイントです。
eBayでよく売られる商品は新関税でどう変わる?
ここまでの内容を、eBayでよく販売される商品に当てはめてみましょう。
今回の新関税では、次の計算式を覚えておけば大丈夫です。
新関税後の税率=もともとのMFN税率と12.5%の高い方
つまり、もともとのMFN税率が12.5%より低ければ、合計12.5%まで引き上げられます。
すでに12.5%以上なら、追加関税はかからず、もとの税率のままです。
代表的な商品を比較すると、次のようになります。
| 商品例 | もともとのMFN税率 | 7月24日以降の追加分 | 最終的な関税率 |
|---|---|---|---|
| デジタルカメラ本体 | 0% | 12.5% | 12.5% |
| ゲーム機本体 | 0% | 12.5% | 12.5% |
| 革製ハンドバッグ | 9% | 3.5% | 12.5% |
| 釣り竿 | 6% | 6.5% | 12.5% |
| 綿製ニットTシャツ | 16.5% | 0% | 16.5%のまま |
| 繊維製スポーツシューズ | 20% | 0% | 20%のまま |
この表を見ると、何が起きているのかが分かりやすくなります。
カメラやゲーム機のように、もともとのMFN税率が低かった商品は、12.5%まで引き上げられます。
一方、衣類や繊維製品のように、もともと12.5%以上の税率が設定されていた商品は、今回の変更による追加負担はありません。
つまり、
「eBayの商品がすべて12.5%値上がりする」わけではない
ということです。
なお、実際の税率は商品の材質、用途、仕様、原産国、HTSコードによって異なります。同じ「バッグ」や「カード」でも分類が変わる可能性があるため、上記の税率はあくまで目安として確認してください。
中古品なら関税がかからないとは限らない
中古衣料、美術品、切手、コレクターズアイテム、製造後100年を超えるアンティークなどは、新関税の対象外になる可能性があります。
ただし、
「中古品として出品したから対象外」になるわけではありません。
関税の対象になるかどうかは、eBayの出品カテゴリーではなく、通関時に使用されるHTSコードで判断されます。
例えば、古い商品でも通常の中古品として分類されれば、関税がかかる可能性があります。
反対に、収集品や美術品として適切なHTSコードに分類されれば、対象外になる場合があります。
判断が難しい商品については、利用している配送会社や通関業者へ確認しましょう。
日本セラーの売上にはどのような影響がある?
新関税によって影響を受けるのは、主にアメリカのバイヤーが支払う合計金額です。
商品価格が変わらなくても、関税が増えれば、バイヤーから見た購入負担は大きくなります。
例えば、200ドルのカメラを販売したとします。
もともとのMFN税率が0%で、新関税後の税率が12.5%になった場合、単純計算では25ドルの関税が発生します。
バイヤーは商品代金や送料に加えて、関税分も考えて購入することになります。
そのため、次のような商品は影響を受けやすくなります。
反対に、次のような商品は関税が発生しても購入される可能性があります。
例えば、どこでも買える新品の商品は、数ドルの価格差でも売れ行きに影響します。
しかし、日本限定モデルや生産終了した商品であれば、バイヤーは価格だけではなく、希少性や状態を見て判断します。
新関税後は、これまで以上に、
「安い商品」ではなく「関税を払ってでも欲しい商品」を探すこと
が重要になります。
商品選びに迷っている方は、以下の記事も参考にしてください。
eBay新関税で商品価格は上げるべき?
結論から言うと、すべての商品を一律で値上げする必要はありません。
商品ごとに判断してください。
MFN税率が12.5%以上なら慌てて値上げしない
もともとのMFN税率が15%の商品は、新関税後も15%のままです。
今回の変更による追加負担はありません。
それにもかかわらず、商品価格を12.5%上げてしまうと、単純にライバルより高い商品になってしまいます。
新関税のニュースだけを見て、全商品を一律で値上げするのは避けましょう。
もとのMFN税率が低い商品は利益を確認する
カメラやゲーム機のように、もともとのMFN税率が0%だった商品は、新関税後に12.5%になる可能性があります。
ただし、すぐに12.5%値上げする必要はありません。
7月24日以前には一律10%の追加関税が適用されていたため、単純に比較すると、負担増は10%から12.5%への2.5ポイントです。
そのため、商品価格を据え置いても利益が残るのであれば、すぐに値上げしないことも選択肢になります。
他のセラーが一斉に値上げする中で価格を維持できれば、検索結果で選ばれやすくなる可能性もあります。
まずは、次の計算をしてください。
利益が十分に残るなら、価格を据え置きます。
利益がほとんど残らない場合は、数%の値上げや送料設定の見直しを検討しましょう。
日本セラーが今すぐ行うべき3つの対策
新関税の対策は、難しく考える必要はありません。
まずは、次の3つだけ行いましょう。
対策1:売れている商品のMFN税率を確認する
すべての商品を調べる必要はありません。
まずは、過去90日間で売上が多かった商品を10個だけ書き出してください。
確認する項目は次のとおりです。
判断方法はシンプルです。
MFN税率が12.5%未満
→ 合計12.5%になるため、影響があります。
MFN税率が12.5%以上
→ 税率はそのままなので、今回の影響はありません。
最初にこの2つへ分けるだけでも、値上げが必要な商品と、価格を据え置ける商品が見えてきます。
対策2:原産国を正しく確認する
関税は、商品を発送した国ではなく、商品の原産国をもとに判断されます。
例えば、中国で製造されたフィギュアを日本から発送しても、原産国は日本ではなく中国になる可能性があります。
日本から発送する商品が、すべて日本向けの12.5%ルールになるわけではありません。
原産国が分からない場合は、次の場所を確認しましょう。
eBayの商品情報にある「Country/Region of Manufacture」にも、推測ではなく、確認できた原産国を入力してください。
対策3:アメリカ以外にも販売する
今回の新関税は、アメリカへの輸入に関する制度です。
売上のほとんどをアメリカに依存していると、関税制度が変わるたびに大きな影響を受けます。
そのため、イギリス、ドイツ、オーストラリア、カナダなどへの販売も少しずつ増やしておきましょう。
eBayには、複数の国へ出品できる「eBaymag」という公式ツールがあります。
一度にすべての国へ出品する必要はありません。
まずは、現在アメリカで売れている商品を、ほかの国でも販売できないか確認してみましょう。
eBay Japanも、アメリカ以外への販売によってリスクを分散する方法として、eBaymagの活用を案内しています。
関税はセラーとバイヤーのどちらが支払う?
関税を誰が負担するかは、利用している配送方法や取引条件によって異なります。
バイヤーが商品を受け取る際に関税を支払う配送方法もあれば、セラーが事前に関税を含めて発送する方法もあります。
そのため、
「関税は必ずバイヤーが払う」
または、
「関税は必ずセラーが払う」
と一律には判断できません。
まずは、自分が利用している配送会社や発送サービスの条件を確認してください。
特に、関税込みで発送する場合は、関税を利益計算に入れておかないと、売れたのに利益が残らない可能性があります。
送料や発送方法を見直したい方は、以下の記事をご覧ください。
eBay新関税に関するよくある質問
全商品に12.5%の関税が追加されるのですか?
いいえ。
全商品に12.5%が追加されるわけではありません。
もともとのMFN税率が12.5%未満の商品は、合計が12.5%になるように差額が追加されます。
すでにMFN税率が12.5%以上の商品は、追加関税がかからず、もとの税率のままです。
MFN税率が0%の商品はどうなりますか?
原則として12.5%まで引き上げられます。
MFN税率0%に、12.5%の追加分が加わり、合計12.5%になります。
MFN税率が20%の商品はどうなりますか?
20%のままです。
すでに12.5%を超えているため、追加の上乗せはありません。
日本から発送すれば日本原産になりますか?
いいえ。
日本から発送しても、商品が中国製であれば、中国原産として扱われる可能性があります。
発送国と原産国は別です。
中古品なら新関税の対象外ですか?
すべての中古品が対象外になるわけではありません。
中古衣料、美術品、収集品、100年を超えるアンティークなどは対象外になる可能性がありますが、最終的にはHTSコードによって判断されます。
商品価格を12.5%上げるべきですか?
一律で12.5%値上げする必要はありません。
もともとのMFN税率と現在の利益を確認し、商品ごとに判断してください。
もとのMFN税率が12.5%以上なら、今回の変更による追加負担はないため、値上げしなくてもよい可能性があります。
まとめ:まずは売上上位10商品の税率を確認しよう
今回のeBay新関税で、最も大切なポイントは次の2つです。
つまり、
「全商品に12.5%が追加される」という理解は間違いです。
この仕組みを知らずに全商品を値上げすると、本来は価格変更が必要ない商品まで高くなり、売れにくくなる可能性があります。
反対に、もともとのMFN税率が低い商品を、何も確認せず販売し続けると、想定していた利益が残らない可能性があります。
まず行うことは一つです。
過去90日間で売れた上位10商品を書き出し、MFN税率を確認してください。
10商品を次の2つに分けます。
これだけで、価格を見直すべき商品と、そのまま販売できる商品が分かります。
新関税を必要以上に怖がる必要はありません。
正しく理解し、必要な商品だけを見直せば、これからもeBay輸出を続けられます。
eBay輸出をどのような順番で進めればよいか分からない方は、以下の記事をご覧ください。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

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