2026年7月から、EU向けの小口輸入品に新しい関税制度が始まりました。
eBayでヨーロッパへ商品を発送している方は、
「3ユーロだけ値上げすればよいのでしょうか?」
「フランスやイタリアには別の手数料がかかるのですか?」
「SpeedPAKを使っている場合、何を変更すればよいのでしょうか?」
と不安に感じているかもしれません。
結論からお伝えすると、EU向け送料を一律で3ユーロ上げるだけでは不十分です。
配送サービスの関税処理手数料に加えて、フランス・イタリア・ルーマニアでは国別手数料が発生します。さらに、送料としてバイヤーから受け取る金額には、eBayの落札手数料もかかります。
そのため、発送先によって送料の上乗せ額を分けなければ、知らないうちに利益が減る可能性があります。
この記事では、2026年のEU関税変更について、初心者の方が実際に設定を変更できるところまで具体的に解説します。
eBay輸出全体の流れを先に確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。
eBay輸出ロードマップはこちら

目次
- 1 2026年7月からEUの関税は何が変わったのか
- 2 150ユーロの判定に送料は含まれるのか
- 3 UKは今回のEU関税変更の対象外
- 4 SpeedPAKでは150ユーロ以下のEU向け発送がDDPになる
- 5 EU向け発送で追加される費用
- 6 フランス・イタリア・ルーマニアには国別手数料がある
- 7 送料の上乗せ額にはeBay手数料も含める
- 8 商品価格ではなくShipping Rate Tableで調整する
- 9 Shipping Rate Tableを変更する手順
- 10 HSコードは6桁まで正しく確認する
- 11 VATとIOSSは従来どおりeBayが処理する
- 12 低価格商品は利益計算をやり直す
- 13 複数商品を同梱するときの注意点
- 14 eBaymagを使っている方は既存出品も確認する
- 15 EU向け発送で今すぐ行うチェックリスト
- 16 まとめ
2026年7月からEUの関税は何が変わったのか
2026年7月1日から、EU域外から輸入される150ユーロ以下の小口商品について、従来の関税免除が廃止されました。
代わりに、1品目につき3ユーロの定額関税が課されます。
ここで重要なのは、「1荷物につき3ユーロ」とは限らない点です。
3ユーロ関税は、同じ関税分類に入る品目ごとに計算されます。
たとえば、同じ種類のTシャツを5枚まとめて発送し、すべて同じ関税分類であれば、基本的には3ユーロです。
一方、Tシャツと腕時計を一緒に発送した場合は、関税分類が異なるため、3ユーロが2品目分となり、合計6ユーロになる可能性があります。
複数の商品を同梱するセラーは、商品数だけでなく、HSコードや関税分類が何種類になるかも確認してください。
150ユーロの判定に送料は含まれるのか
今回の制度で基準となる150ユーロは、原則として商品の本体価格で判断されます。
たとえば、次の注文を考えてみましょう。
商品価格:145ユーロ
送料:20ユーロ
購入者の支払総額:165ユーロ
この場合、送料を除く商品価格が145ユーロであれば、150ユーロ以下の区分として扱われます。
「商品価格と送料を合わせて150ユーロ」と考えないように注意してください。
ただし、実際の申告や適用条件は取引内容によって異なる可能性があります。ラベル発行時にCPaSSへ表示される内容や、利用している配送会社の最新案内も必ず確認しましょう。
UKは今回のEU関税変更の対象外
イギリスはEU加盟国ではないため、今回のEU向け3ユーロ関税の対象外です。
そのため、配送設定では少なくとも次の地域を分けて考える必要があります。
EU加盟国
イギリス
EU・イギリス以外の国
「ヨーロッパ」という区分だけで送料を設定すると、EUとUKを同じ条件にしてしまう可能性があります。
今回変更するのは、基本的にEU加盟国向けの送料設定です。
SpeedPAKでは150ユーロ以下のEU向け発送がDDPになる
SpeedPAKを利用してEUへ150ユーロ以下の商品を送る場合、DDPでの発送が必要になります。
DDPとは、関税や輸入時の費用をセラー側で負担して発送する方法です。
従来のDDUでは、商品到着時にバイヤーが関税などを支払うことがありました。
DDPでは、原則としてセラー側が発送時に関税関連費用を負担するため、バイヤーは受け取り時の追加請求を避けやすくなります。
バイヤーにとっては分かりやすい仕組みですが、セラー側が費用を価格や送料へ転嫁しなければ、そのまま利益減少につながります。
EU向け発送で追加される費用
EU向け発送では、3ユーロ関税だけを計算するのではありません。
SpeedPAKを利用する場合は、主に次の費用を確認します。
3ユーロの定額関税
150ユーロ以下の商品には、原則として1品目、正確には関税分類単位で3ユーロが課されます。
同じ関税分類の商品だけを送る場合は3ユーロですが、異なる分類の商品を同梱すると、6ユーロ、9ユーロと増える可能性があります。
SpeedPAKの関税処理手数料
参考記事に掲載されているオレンジコネックスの案内では、SpeedPAK EconomyとSpeedPAK FedExは、推定関税額に対して2.1%の処理手数料がかかるとされています。
関税が3ユーロの場合は、次の計算です。
3ユーロ×2.1%=0.063ユーロ
つまり、国別手数料がない国でも、最低限の負担は約3.06ユーロとなります。
SpeedPAK-DHLでは、関税額の2.1%に加えて850円の処理費用が案内されています。
EU向けの低価格商品を発送する場合、DHLの追加850円は利益に大きく影響します。配送スピードだけで決めず、EconomyやFedExとの総費用を比較してください。
配送会社の料金は改定される可能性があるため、実際の発送前にはCPaSSの請求予定額と最新のお知らせを確認しましょう。
フランス・イタリア・ルーマニアには国別手数料がある
今回、特に見落としやすいのが国別手数料です。
参考情報では、EU加盟国のうち、次の3カ国には追加の国別手数料が設定されています。
| 発送先 | 国別手数料 |
|---|---|
| フランス | 2ユーロ |
| イタリア | 2ユーロ |
| ルーマニア | 5ユーロ |
| 上記以外のEU加盟国 | なし |
たとえば、関税分類が1種類の商品をフランスへ発送する場合は、概算で次の費用が発生します。
3ユーロの定額関税
+0.063ユーロの関税処理手数料
+2ユーロの国別手数料
=約5.06ユーロ
ルーマニアの場合は次のとおりです。
3ユーロの定額関税
+0.063ユーロの関税処理手数料
+5ユーロの国別手数料
=約8.06ユーロ
これを知らずに全EUへ一律3ユーロだけ上乗せすると、フランス、イタリア、ルーマニア向けの注文で利益が不足します。
送料の上乗せ額にはeBay手数料も含める
追加費用が5ユーロだからといって、送料を5ユーロ上げればよいわけではありません。
eBayでは、バイヤーから受け取った送料も落札手数料の計算対象になります。
仮にeBay手数料を15%として考える場合、追加費用を回収するための計算式は次のとおりです。
必要な送料上乗せ額=追加費用÷0.85
国別に計算してみましょう。
EUの一般的な加盟国
3ユーロ+0.063ユーロ=3.063ユーロ
3.063÷0.85=約3.60ユーロ
為替変動や誤差を考えると、送料への上乗せは4~5米ドル程度が一つの目安です。
フランスとイタリア
3ユーロ+0.063ユーロ+2ユーロ=5.063ユーロ
5.063÷0.85=約5.96ユーロ
米ドル換算や為替変動を考慮すると、7米ドル前後の上乗せが目安になります。
ルーマニア
3ユーロ+0.063ユーロ+5ユーロ=8.063ユーロ
8.063÷0.85=約9.49ユーロ
米ドル換算と為替変動を考慮すると、11米ドル前後の上乗せが目安です。
整理すると、次のようになります。
| 発送先 | 送料への上乗せ目安 |
|---|---|
| フランス・イタリア・ルーマニア以外のEU加盟国 | 4~5米ドル |
| フランス | 約7米ドル |
| イタリア | 約7米ドル |
| ルーマニア | 約11米ドル |
これは関税分類が1種類で、SpeedPAK EconomyまたはSpeedPAK FedExを利用する場合の概算です。
異なるHSコードの商品を同梱する場合や、SpeedPAK-DHLを利用する場合は、さらに費用が増える可能性があります。
また、実際のFVFはストア契約、商品カテゴリー、販売サイト、セラーの状態などで変わります。ご自身の実際の手数料率で計算し直してください。
商品価格ではなくShipping Rate Tableで調整する
EUの追加費用を商品価格へ一律で上乗せすると、アメリカやイギリスなど、今回の制度変更と関係のないバイヤーまで値上げ対象になります。
そこで利用したいのが、eBayのShipping Rate Tableです。
Shipping Rate Tableを使えば、発送先の地域や国ごとに追加送料を設定できます。
設定方針は、次の4区分に分けると管理しやすくなります。
| 区分 | 追加送料の考え方 |
|---|---|
| EU一般地域 | 4~5米ドル |
| フランス | 約7米ドル |
| イタリア | 約7米ドル |
| ルーマニア | 約11米ドル |
最初にEU一般地域の追加送料を設定し、フランス、イタリア、ルーマニアだけ個別設定にします。
UKは今回の対象外なので、EUと同じ上乗せをしないようにしてください。
送料設定の基本から見直したい方は、以下の記事も参考にしてください。
eBayの送料設定とシッピングポリシーはこちら

Shipping Rate Tableを変更する手順

実際の画面名称はアカウントによって多少異なりますが、基本的には次の流れで設定します。
- eBayのSeller Hubを開きます。
- Account settingsまたはBusiness Policiesを開きます。
- Shipping preferencesからShipping Rate Tablesを選びます。
- EU向けに使用するRate Tableを作成します。
- EU一般地域の追加送料を設定します。
- フランス、イタリア、ルーマニアを個別に設定します。
- 作成したRate Tableを対象のShipping Policyへ適用します。
- 実際の出品ページで配送先を変更し、送料表示を確認します。
設定しただけで安心せず、フランス、ルーマニア、ドイツ、イギリスなど、条件の異なる国を配送先として選び、想定した送料が表示されるか確認してください。
HSコードは6桁まで正しく確認する
SpeedPAK-DHLやSpeedPAK FedExを利用する場合、6桁のHSコードが必要になることがあります。
HSコードを間違えると、関税額の誤りだけでなく、通関遅延や追加請求の原因になります。
たとえば、税関申告の商品名を「Toy」「Parts」「Goods」のように曖昧に書くのは避けましょう。
次のように、具体的な商品名を記載します。
悪い例:Toy
改善例:Plastic anime character figure
悪い例:Camera parts
改善例:Interchangeable camera lens
悪い例:Game
改善例:Nintendo Switch video game software
商品名、数量、重量、販売価格、原産国、HSコードを一致させることが重要です。
税金を下げるために申告価格を実際より安く記載するアンダーバリューは行わないでください。通関停止、追加請求、配送遅延などの原因になります。
VATとIOSSは従来どおりeBayが処理する

150ユーロ以下の取引では、VATは基本的にeBayが購入時にバイヤーから徴収し、IOSSを通じて納付します。
今回追加された3ユーロ関税とVATは、別の仕組みです。
VATがあるから3ユーロ関税が不要になるわけではなく、3ユーロ関税が始まったからセラーがVATを二重に徴収するわけでもありません。
セラーが独自にVATを商品価格へ加算する必要はありません。
正しい取引価格と商品情報を登録し、eBayと配送サービスの指示に従って発送してください。
低価格商品は利益計算をやり直す
今回の変更で特に影響を受けるのは、利益額が小さい商品です。
たとえば、販売後の予定利益が8米ドルの商品をルーマニアへ発送し、追加費用を送料へ転嫁していなければ、利益の大部分がなくなる可能性があります。
EU向けの販売実績がある商品は、次の順番で確認してください。
- 過去90日間のEU向け販売を確認する
- フランス、イタリア、ルーマニア向けの注文数を確認する
- 150ユーロ以下の商品を抽出する
- 1件ごとの利益額を再計算する
- 送料を上げても利益が残らない商品はEUを除外する
- 利益が残る商品には新しいRate Tableを適用する
すべての商品をEUで販売し続ける必要はありません。
低価格で利益が薄い商品だけEU配送を停止し、利益率の高い商品は販売を継続する方法もあります。
利益を取りやすい商品の探し方は、以下の記事で詳しく解説しています。
eBayで売れる商品の探し方はこちら

複数商品を同梱するときの注意点
今回の3ユーロ関税は、単純な商品個数ではなく、関税分類ごとに計算されます。
そのため、同じ商品を複数個まとめる場合と、異なる種類の商品をまとめる場合では負担が変わります。
たとえば、同じHSコードの商品5個なら3ユーロで済む可能性があります。
しかし、ゲームソフト、フィギュア、腕時計の3種類を同梱すると、関税分類が3種類になり、9ユーロになる可能性があります。
まとめ買いの注文が入ったときは、安易に同梱して送料だけを節約するのではなく、関税分類が何種類になるかを先に確認してください。
場合によっては、別送した方が利益計算や通関管理をしやすくなることもあります。
eBaymagを使っている方は既存出品も確認する
eBaymagを利用している場合、Shipping Policyを変更しても、既存の出品へ自動反映されないケースがあります。
新しい配送条件が反映されていない出品が残ると、注文後に追加費用へ気づく可能性があります。
ポリシー変更後は、既存出品を配送先別に確認し、EU向け送料が正しく表示されているかテストしてください。
出品数が多い場合は、EUで売れやすい商品や低利益商品から優先して確認しましょう。
EU向け発送で今すぐ行うチェックリスト
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最後に、初心者の方が迷わないよう、必要な作業をまとめます。
□ EU向け150ユーロ以下の商品を確認する
□ 利用しているSpeedPAKの手数料を確認する
□ フランスに約7米ドルの追加送料を設定する
□ イタリアに約7米ドルの追加送料を設定する
□ ルーマニアに約11米ドルの追加送料を設定する
□ その他EU加盟国に4~5米ドルを設定する
□ UKにはEU向け追加送料を適用しない
□ 実際のFVFで上乗せ額を再計算する
□ 6桁のHSコードを確認する
□ 商品名、価格、数量、重量を正確に申告する
□ 複数商品は関税分類の数を確認する
□ 低利益商品はEU配送除外も検討する
□ 設定後に国別の送料表示をテストする
まとめ
2026年7月のEU関税変更では、150ユーロ以下の商品に3ユーロの定額関税がかかるようになりました。
ただし、実務で重要なのは3ユーロだけではありません。
SpeedPAKの関税処理手数料、フランス・イタリア・ルーマニアの国別手数料、送料にかかるeBayの落札手数料まで含めて計算する必要があります。
送料への上乗せ目安は、次のとおりです。
その他のEU加盟国:4~5米ドル
フランス:約7米ドル
イタリア:約7米ドル
ルーマニア:約11米ドル
まず行うことは一つです。
現在使用しているEU向けShipping Policyを開き、Shipping Rate Tableで国別送料を設定してください。
制度を知るだけでは利益は守れません。
今日、送料設定を変更し、テスト表示まで完了させることが、EU向け販売を続けるための具体的な第一歩です。
最後まで読んで頂きありがとうございました!

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